在学生の方達は後期の講義はもう始まっていますが、僕の方は学生証等も全部返してしまって、あとは修了式を待つのみの状態です。
ここで、この大学院で学んだことをまとめておこうかと思います。
まずこの大学院に入ったときの気持ちは、このブログでも書いたように(入学当初に書いた「大学院入学」参照)、お客さんである企業と一緒になって知財を考えられるようになりたいと思っていました。(短答免除がほしいという気持ちもありましたが…)
それにはまず企業における知財の考え方を知るべきと思い、知財戦略系の研究ゼミに入りました。
それまで知財戦略なんてことはよくわかっていなかったので、ゼミでの最初の1年間は、とにかく知財戦略の基本的な考え方を勉強していきました。
そこでは、まず知財経営で勝つためには、事業の優位性を確保するための知財活動が必要で、知財は事業をフォローするものだということを知り、さらには色々な場面での有効な知財戦略についても知ることができました。
そして今度は、その企業側の知財戦略というものを学んだ上で、企業の外部で権利形成に関わる自分のような明細書書きの立場としてはどう考えていけばいいのか、知財戦略に適した明細書ってどんなだろうという思い、そこから修了研究のテーマを考えました。
今年の3月くらいまでは2年修了(つまり来年3月修了)を考えていたけど、弁理士試験のこと等を考えて急遽1年半修了に早めたことで、修了研究が結構急ぎ足になってしまったけど、なんとかこの半年間で研究をまとめることができました。
その修了研究のタイトルは、
「勝つための知的財産経営における権利形成戦略に適した出願及び明細書」
というのにしました。
長いタイトルで、結構大それたことを言ってる感じで自分で考えておいて恐縮してしまう感じもありますが、、
中身の概要は、
「事業で勝つための知的財産経営における知的財産戦略として特に権利形成戦略に関してまとめた上で、ケーススタディとして現実に知財経営で成果を挙げている企業において戦略的に特許出願されていると思われる特徴的な技術を取り上げ、その出願動向を調査し、その中でも重要と思われる出願・明細書を精読、分析し、どのようにして戦略を達成しているかを検証した。そして、権利形成活動に携わる者の立場として戦略に適った出願・明細書の実現にはどうしたらいいかを考察したもの」です。
あまりここで詳細を説明すると長くなりすぎるし、公開しすぎるのも問題がでてきそうなので省かせてもらい、研究の結論でもあり、この大学院で学んできた結果として、今の自分の仕事に対する考えを書いておきたいと思います。
まず、前提として企業側(主に知財部)としては、事業で勝つことを意識した知財戦略を考えることが必要です(ここがまず難しかったりもするかもしれませんが…)。
その企業をクライアントとする特許事務所(明細書作成者)としては、そのクライアントの考える戦略を理解することが必要で、そのためには企業と特許事務所とが常時情報を共有できる環境が必要であって、それはお互いの信頼感によって成り立つものだと考えています。
そして、戦略を理解できたならば、その戦略を達成できるよう「知恵」を絞って明細書を作成するというのが必要で、そういう出願をし、権利を取得していくことで戦略が達成(=事業が成功)されるんではないかと思います。
逆に考えていくと、「知恵」っていう部分に僕らのテクニック的な部分が問われてくるんですが、それは単に権利を取るテクニックというだけではなく、本当に質のいい権利というのは事業の成功に貢献する権利であって、そのためにはお客さんの事業を知らなくてはいけなくて、だから常時の情報の共有が必要になってくるわけです。
でも、常時の情報の共有といってもそんな簡単なことじゃなくて、お互いに信頼感を持ち合った仲にならないとなかなか本当の意味での情報の共有ってのはできないんじゃないかと思います。
そうなると具体的にやってくこととしては、結局は日頃からお客さんとのコミュニケーションを密に取りつつ、1件1件を大事にやっていくという、地道な作業の積み重ねなのかなと思います。そして、事務所全体としてもそういう意識を持たなきゃいけないだろうとも思います。
これが、この大学院1年半で学んだ結果としての僕の現時点での考え方です。
なんとなく理想論っぽくもあり、現実はそんな甘くない部分もあるかと思いますが、でも、実際にこういう風に仕事していけたら、苦労もあるけどやりがいもあって楽しい仕事ができるんじゃないかと思っています。
これからの自分としては、そのような気持ちで仕事をしつつ、さらに仕事の幅を拡げるためにも弁理士の資格取らなきゃいけなくて、今後はひとまず資格を取ることを最優先に考えていきたいと思っています。
そして、今回知財経営の勉強してわかったのは、知財経営を本当に理解するには、基本となる経営の知識も必要で、さらにはその知識以上に実戦的な経験というのが重要で、今はまだまだ本当に基本的な考え方を知ったという程度なので、早く資格を取って、その先の勉強や実戦に携わって、本当に実力のある弁理士を目指していきたいと思います。
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